【昼】torn

握った拳は、拒否だった。絡みかけたことに戦慄で我に返ったように目が開く。指を手の平の中に引いたのは同じ瞬間だった。
だけど思う。
拒否は、ただの意思だ。
俺の拳は抵抗という物理的な手段に向かえない。突き付けられて知る。攻める道具が多いのは、開いた手の平の方が圧倒的だということを。頭の中で今更紙と石の関係を理解するなんて馬鹿みたいだった。
小さく固まった拳の先、甲に、手首に指が触れる。手の平が、俺の拳を覆う。いっそそうなる前に振り回して、殴り付ければ良かった。もう遅い。

視界が滲んで揺らぐ。
握った拳が震えて緩みそうになる俺の意思を、見ないでいたかった。



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12年5月にtornを見た当時手を絡め尚真田が先に拳をつくった様が好きすぎてできていたブツ。のんさなtorn熱いよ…