【覚え書き】優しい言葉だけせめて覚えておきたかった

と、本日は、ガンツの感想で挙げていた、『オンブ』について言及された「中世の愛と隷属」という本を見ることができたので、そのメモを残しに。
ひとつひとつくろのくんとたえちゃんのことを考えながら読むと、すごく面白かったです。


<聖なるオンブ>
・異界の聖なる存在との間の交流が、オンブという肉体的接触によって行われるという観念があった。

<死のオンブ>
・夢の中で人にオンブされて他界へ行くという観念

<女を背負う>
・人々が火事場から各々大事と思う様々なものを持って逃げ出す場面を描いたものであり、「火宅」としての「人道」に囚われた人間の業を描いたものである。これらの男は、女を最も大事なものとしてオンブして逃げ出し、その先には三途の川での苦行が待っている。
・そこに描かれた男と女の関係は、一組の男と女がその身長や体重の違いを相互の肉体を通じて認知しており、背負うという行為の中に記憶しているという関係であるように読みとれる

<婚約のオンブ>
・男と女は、嫁迎えのオンブから、その身体的愛情を公認され、それと対になった身体的技術を作り始めたと考えたい。
・婚姻のオンブから始まった夫婦のオンブは、結局、三途の川のオンブにおいて、その円環を閉じる。そして、自己の肉体によって結婚のオンブを担い、死後は三途の川のオンブまで一緒に連れ添う個人的愛情と幸せは、何人もの女をオンブしなければならない人々にとってよりも、むしろ庶民の愛情にふさわしい

・このような身体的儀礼が宗教の世界に反映し、神々による宗教的な送迎という観念が特に発展したと思える。
・人々の意識の中にあったものは、世俗における「送迎」と同じレベルでの神によるお迎えへの期待だったのではあるまいか。宗教がここまで現世における人格的な儀礼と同じ反映形態を示すことは、まさに日本においても「人間は自己自身に似せて神を創造した」ことの現われだったのではないか。


くろのくんは、神様になったのかなぁ。

(110703)